電車も通っていない山の中に、穂織(ほおり)の町はある。 周りとの交流も薄いせいか、文明開化にすら乗り遅れた田舎町。 だがそのおかげで独自の発展を遂げ、今では一風変わった温泉地として広く知られる立派な観光地。 そんな穂織の人気の一つに、特別な刀の存在があった。 【神刀 叢雨丸(むらさめまる)】 岩に突き刺さったまま、誰も引き抜くことができない刀。 のはずが、なんと 有地将臣 はその刀をへし折ってしまう ! 予想外の事態に慌てふためく彼に突き付けられた責任。 それは “結婚” という二文字だった! とんでもない事態にワケが分からず困惑する将臣。 だがこれも、ほんの入り口でしかない。 この先にはもっと奇妙で摩訶不思議な生活が、待ち構えていたのだから。 初めて出会った結婚相手 自分だけが触れられる謎の少女 そして、穂織の土地に残る呪いの秘密とは……? めまぐるしく変わる生活の中、出会った恋の行く末はどこなのか? すべては叢雨丸を掴んだ、その手の中に――
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