葦原町に封じられていた “太転依(たゆたい)” が解き放れてから 50年、その存在が明るみに出て暫くの時が過ぎた。 人は 太転依 の存在を認知し、太転依 は人との共存に向けて歩み寄りを始めている。 人類の過渡期とも言うべき時代の物語── 主人公・草壁空 の住む鷹千帆市 矢古民(やこたみ)町は、全国でも特に質の良い神気が集まる場所である。 市政としても “人と太転依との共存” に注力し、多くの人や太転依を受け入れることで急速な発展を遂げてきた。 そんな矢古民町だからこそ、起こりうる事件もあり…… その日、空は偶然目にしてしまった 人間の子供と太転依との些細なケンカを仲裁した。 それ自体は、矢古民町では珍しいことではない。 空にとって思いもかけない事件が起こったのは、この直後だった。 「見つけました…… きっとこの人が……私の……」 頭から可愛らしい耳を生やした女の子 は、太転依から人間に化成したか、あるいは太転依から加護を受けた人間か。 一部始終を見ていたという女の子は、空を太転依を祭る神社・八衢神社へと引っ張っていく。 そして、キラキラと輝く純真そのものな瞳を向けながら言った。 「私のお婿さんになって欲しいんです!」 突然のことに彼女── 泉戸こはく の真意を計りかねる空。 だが彼女の母親・泉戸ましろの説明を受け、こはくが彼女の意志を継ぎ “人と太転依の共存社会” を実現するための、その相方となる人物を探しているのだということを知る。 「お婿さん、はともかくとして──」 こはくの熱意に感じ入るものがあった空は八衢神社での同居を承諾し、“人と太転依との共存” のために、彼女に力を貸すことを約束するのだった。
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