――あの日、俺は天使を見た。 天使(セラフィーン)のような彼女たちと恋人になれたら、きっと天国(パライソ)のような毎日が待っている! もっとも彼、斉須柾鷹(さいす まさたか)は、天国など自分には縁がないと思い込んでいた。 だが天使の一人から、完全にロックオンされてしまう。 確かに 美鳩夏乃(みはと かの) とは幼なじみだが、学園一の超お嬢様! そんなに毎日 大好きビームを照射されても、はるかに遠い高嶺の花だ。 その友人・朱鷺坂七緒(ときさか ななお) はモデル並の黒髪美人。 だけどツンツン天使と呼ばれるほどに素っ気ない。 アーデルハイト・フォン・ベルクシュトラーセ は、リアルお姫様! 独唱は天使の歌声と賞賛されるほどだが、いつも気だるげで世話が焼ける。 椿姫こはね(つばき こはね) は敬虔なクリスチャン。 天使と呼ぶにふさわしい性格美人で、柾鷹は頭が上がらない。 ……ん? 気付けば、全員と関わりを持ってないか? だが、それも宿命だったのかのかもしれない。 彼にはささやかな秘密があったのだ。 “目をこらせば、天使の翼が見える” その心が善なる時は天使が、悪なる時は悪魔の羽根が見えてしまう。 それは幼き日―― 初めて天使を見た時から、始まっていた。
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