再び咲く花は、真夏を彩り咲き誇る。 幼い頃に天涯孤独の身となった天城恵介。 彼は自分を拾ってくれた此花宮(このはなみや)家の令嬢・琴耶 (ことや) に仕えるため、厳しい教育を乗り越えて完璧な執事となり、この夏に日本に帰ってきた。 新たに通うことになった 盟青学園 では琴耶と同じクラスに配属され、子供時代の知り合いとも再会し、学園生活の滑り出しは順風満帆に見えた。 しかし初日の放課後、予想外の事態が訪れる。 なんと、ラブレターらしき手紙が届いたのである。 呼び出されて向かった公園で、恵介は メリエル と名乗る一人の少女と出会う。 彼女はあたかも恵介と以前から知り合いだったように振る舞い、そして衝撃的な一言を言い放つのだった。 「あなたは神様だったのです。 地上に降りた妹女神さまを探すために、人間として “転生” したのです!」 何を言っているのか、とまったく信じられない恵介。 しかし自称・天使の少女は、それこそが天使の力なのか、此花宮の屋敷に入り込んだうえに、恵介の部屋に住むことを琴耶たちに認めさせてしまう。 メリエル曰く、神様だった恵介には妹がいたらしく、彼女は恵介より先に人間に転生して、今はこの町のどこかにいるらしい。 人間に転生した妹を女神に戻すには、“女神の力の断片(フラグメント)” を回収しなくてはならない。 それが、恵介が人間に転生した目的なのだと言う。 妹は奇跡を起こす力を持つフラグメントを用いて、この街の人々の願いを叶えていた。 恵介はメリエルの力を借りて、願いを叶えられた5人の少女たちを特定する。 学園の生徒会長で、生徒たちの信望を一身に集める 藤ヶ崎芽愛 (ふじがさき めあ) 。 恵介と同じクラスで、無気力に見えるが元々は歌の才能にあふれていた 霧雨優兎 (きりさめ ゆう) 。 学園の裏庭で花を育てている、純真無垢なハーフの下級生 詩依奈=ティリス=エリュアール 。 異世界と交信でき、本物の魔術が使えると自称する不思議な少女 黒羊藍 (こくよう らん) 。 そして恵介の主人である 此花宮琴耶 。 彼女もまた、女神に願いを叶えられた一人だった。 恵介は彼女たちとの交流を通して、“目的” を達成することが出来るのか? もしも目的を果たせなかった時、彼に訪れる運命とは――? 少年は夏がいつまでも続くと思っていた。 少女はそうはならないことを知っていて、 それでも星に、永久を願った。
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