物語の舞台は、ソ連のペレストロイカが成功せず、現体制のまま社会主義国家の閉塞感を打破できなかった世界――――。 皇ヶ崎雅人は、陸上自衛隊の東部方面隊の師団長を務める、将来を嘱望されていた優秀な自衛官だった。 恋人である有吉恵美との結婚を二週間後に控え、それなりに幸せな日々を送っていたが、内政の矛盾を外征へと振り向けることで解消しようとしたソビエト連邦政府が、2007年1月、ついに日本へと侵攻。新潟への攻撃が開始された。皇ヶ崎は、やむなく東京の守りを固めるため出撃するが、敵の圧倒的な軍事力の前に敗退を余儀なくされる。 空が血の色に染まった東京決戦――――。 廃墟と化した東京の街で、一発のミサイルがマンションを直撃した。皇ヶ崎の帰りを待つ恵美の部屋を直撃し、辺りに轟音を響かせた。 それが、皇ヶ崎にとっての悪夢の始まりであり、日本の連敗戦争の幕開けでもあった……。 数ヵ月後――東京、大阪といった名だたる拠点を失った日本政府は、福岡に暫定政府を置き、皇ヶ崎は、そこで抜け殻のような日々を送っていた。 愛する者を失った悲しみ。 かけがえのない者を失った苦しみ。 無気力に生きることしかできなかった皇ヶ崎に突如として言い渡されたのは、対ソ反抗作戦・統合軍総司令官への任命だった。 「死に場所を探すにはちょうどいい……」 そんな気持ちで引き受けた皇ヶ崎の前に現れたのは、戦術兵器統括システム(TGS)を搭載した一体の女性型アンドロイド。 戦闘プログラムを○化することによって無限の可能性を秘めている一方、高性能AIに管理された人格にも影響を受けてしまう不完全な機械人形が、部下として与えられたのだった。 戦場に死に場所を求める司令官と 自分の心を探し求める機械人形の戦いが 今、始まる――――。
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