「はあ……」 なんでこんなことになってしまったのか。 名前は桐谷綾斗。物心ついたときからドイツに住んでいる。 俺には双子の姉がいて、名前は桐谷沙綾という。 姉さんは昔から日本にあこがれていて、いつか日本の学園に通うのが夢だった。 だから、その日本へ留学できるかもしれないという話が出たときは、 弟の俺もそれにつき合って、姉さんが留学できるようにサポートした。 だから姉さんの留学が決まった時は嬉しかった。 だけど……。 「綾斗くん、ごめんね……」 姉さんは病に倒れた。もともと病弱だったのに、無理をしたからだ。 幸い、命に関わるものでは無かったけれども、全快にはしばらく要するという。 俺は悔しかった、本当に悔しかった。 このままでは留学が取り消しになってしまう。 だから、俺は決心した。 姉さんの体調が戻るまで、姉さんのふりをして俺が日本の学園に通う、と。 そこまではよかった、でも、よく考えたら――。 「この学園ってお嬢様学園じゃないか!」 そう、姉さんが留学しようとしていたのは、女子だらけお嬢様学園。 そこへ俺は女装して通わなければならなかった。 慣れない土地で、周りはどこを見ても、お嬢様、女の子、お嬢様! 男子禁制の女の花園に通うことになった俺――いや、私はいったいどうすれば!? 「ハンターってなに!? ディアナ祭? 私はラビット?」 鎧を身にまとった女の子同士が剣戟を散らし、私を奪い合うって、これどうなってるの!? こうして姉に扮した私の、波乱の留学生活ははじまったのだった。 「正体バレなきゃいいけど……はあ」
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