初夏の豪雨の日。 コンビニに逃げ込んだ 小海雅孝 はイートインで、雨が止むのを待っていた。 ふと気づくと、隣の席に女の子がいた。 彼女が持っていたのは、ジュースでも、ホットスナックでもなくて、鯖の味噌煮の缶詰だった。 しかも、その缶詰を開けて食べだしたのだ。 女の子が!コンビニの!イートインで!鯖の味噌煮の缶詰を!食べるッ! しかも、女の子は鯖の味噌煮の缶詰を食べると、まだ激しく雨が降り続ける外へと平然と出て行ったのだ。 エキセントリックな行動に心を奪われた 雅孝 は、彼女と再会した時に質問をする。 「どうして、鯖の味噌煮の缶詰を食べたの?」 彼女は答える。 「しゅ、終末の準備の為なんです」 彼女は続ける! 「いつくるかわからないから、週末に備えておく必要があると思うんです」 彼女はさらに続ける! 「あっ、あの終末ってまだ来てないけど、週末のことを書いた作品はたくさんあって。 そういうのを読んだり見たりして、発見したんです」 彼女は何を発見したのか? 「『少女終末旅行』にも『北斗の拳』にもありましたし『マッドマックス2』でも。『ザ・ウォーカー』にもありました。 それと『ザ・ロード』と『終末のフール』と『終わりの街の終わり』と『超プロレスファン列伝でも! 『最終兵器彼女』…あれ?あれはインスタントラーメン?』」 落ち着け! 「『ひとめあなたに…』はどうだったかな? あっ『ポストマン』と『塩の街』はですね、絶対にあると思っていたのになかったんです。 ない系ですね、はい」 いや、だから何があったりなかったりするんだ!? 「缶詰を食べるシーンです。 終末になると、缶詰を食べるみたいなんです。だっ、だから、その…。 終末の準備のために、缶詰を食べる練習をしておこうと思ったんです」 終末の準備のために缶詰を食べる? 「はっ、はい!終末の準備をしている人は世界中にたくさんいるんです。 そういう人々のことをプレッパーズというんです」 ――プレッパーズ。終末を見つめる人々。 これはプレッパーズとなった少年少女達が、終末に立ち向かう物語である。
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