『強さ』が絶対的な価値となる、様々な欲望うずまく『大封鎖地』で、最底辺の隷士から這い上がれ―― ベルガラード王国の貧民街出身である主人公『ジェダル・シュヴァルカ』は、傭兵として参加した戦争に敗北したことで敵国の捕虜となり、遠い地の東ゴーティア王国へ売られてしまう。 辿り着いたのは王都『迎撃都市グラセスタ』、地下に広大な迷宮『黒の抗』が眠るサマラ魔族国の亡地で、恒久的に続く魔物との戦いに彩られる “傭兵と奴隷の街” であった。 “この国では、魔物を倒す能力を磨けば王にすら成れる” そんな嘘のような触れ込みを証明するように、迎撃都市グラセスタには、実際に実力で身分の階段をかけ上がった英雄がいる。 現王国である『サロ・グラセスタ27世』は、元は苗字すら持たない奴隷であり、幾多の激しい戦闘を経て、ついにその栄誉を勝ち取ったのだと。 ――奴隷に堕ちても、まだ希望を捨てるべきではない。 ジェダルは、まず奴隷から自由民へ上がる為にと迷宮攻略に乗り出す中で、とある貴族の女の子と出会う。 特殊な事情があり、日常を小さな人形のような姿で過ごさなければならない女の子『リリカ・ルシティーネ』は、自分を迷宮の最奥に連れて行ってくれる協力者を探しているという。 貴族の後ろ盾を得れば、奴隷の身分であっても幾分か動きやすくなる。 そんな打算もありながら、リリカが放つ身分の差を感じさせない在り方を気に入ってしまう。 利害が噛み合い、リリカ所有の奴隷となったジェダルは、共に未開拓な階層を踏破し、迷宮に眠る謎を解き明かし、迎撃都市に潜む闇の勢力と対峙していく。 これは、最下層の身分から始まる『成り上がり』の物語――
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