隠角村は、気立てがよく奔放で美しい鬼娘だけ暮らす、人外の里。 異界より訪れた男は「稀人」と呼ばれ、村のおなごを望むまま娶ることができるという。 おによめ。 器量良し、性根善し。千金積んでも得られぬと、古来より謳われる最良の嫁。 天涯孤独の青年「そら」は登山中に転落して時空を越え、この隠角村長「おきぬ」に助けられた。 「そなたが元の世界に帰る方法は、わっちも知りませぬ。この村に住み、妻をめとってくりゃれ」 おごそかに告げられて、紹介さた鬼嫁候補は三人。 医術を伝える薬師で、おっとり巨乳鬼娘「もみじ」。 卜占の力に長けた、生意気ツインテールの「うらら」。 防人の筆頭にして、精悍な爆乳狩人の「みかさ」。 「そら様の良妻賢母になれるよう、わたし一生懸命がんばりますね!」 「古くさいしきたりで嫁にされるなんて、アタシはまっぴらごめんなんだけど!?」 「がははッ! あいかわらずひねくれてるな、うららは。オレは大歓迎だぞ」 戸惑うそらと三人を見比べて、おきぬはころころと妖艶に笑う。 「ほんに、かわいらしいお方。どうであろ?よりどりみどりでありんすなあ? まずは、わっちの屋敷に逗留し、嫁候補や村をようよう知って下さいまし。 そして村に異界の善き血筋と息吹を、授けてくりゃれ」 こうして始まる、隠角村での日々。 「おによめ」に選ばれる鬼娘は――?
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