文久三年。西暦にして一八六三年。 江戸の空は昏い。 異境カダスより西洋を経て流入した蒸気機関技術は、開国から十年という短い期間で、 江戸をまさしく「異形の機関都市」へと変貌させつつあった。 心形刀流の青年剣士・伊庭八郎は、ある日、兄とも叔父とも慕う剣聖・男谷信友から、 伊豆国下田である荷物を受け取り、京の都へと向かうようにとの密命を受ける。 伊豆で八郎に渡された荷物とは“鉄の処女”を思わせる大きな鉄の箱。 その仰々しい様相に戸惑う八郎だったが、彼を更に驚愕させたのは、鉄の箱から現れた、 西洋人形の如き金髪碧眼の小柄な少女であった──
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