会社員・城西雅実(しろにし まさみ)は、淡々とした人生を送ってきた。 両親と死に別れたり、身体を壊して入院して、それが原因で転職をしたり…… 途中でいろいろなことがありはしたが、それはそれとして、その日を生きてきた。 そして気付けば、オジサンと呼ばれる歳。 友達や恋人もおらず、職場の人と適度な距離を保ちつつ、1人暮らしの日々を過ごす。 そんな彼には、いとこが1人いた。 娘と2人で暮らす彼女は、よく雅実に電話をしてくれる。 彼女と話すのは、雅実にとっても、それなりに楽しかった。 いとこの仕事はホステス。 昼に寝て、夜に出勤……なので毎日、娘を家に残して、仕事に行っていた。 まだまだ大きいとは呼べない娘――水香(みずか)は、夜にいつも家で、1人きり。 いとこは雅実に、時間があるとき、水香を構ってあげてほしいと頼む。 だから雅実は、水香に連絡をしてみた。 一緒に夕飯でも食べないか、と。 寂しいオジサンと、寂しい少女。 些細なきっかけから、1人だけの時間が、2人のものになっていく。
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